「うそを言ったことで間違いないね」念押す検察官 足利再審(産経新聞)
【元検事語る(2)】《宇都宮地裁(佐藤正信裁判長)で22日開かれている「足利事件」の再審第5回公判。法廷では、平成4年12月8日、別の女児殺害事件について、森川大司元検事が菅家利和さん(63)を取り調べた際の録音テープの再生が続いている》
《(松田)真実ちゃん事件(足利事件)について、改めて菅家さんが“自白”した内容を認めることを確認した検事。菅家さんは、もはや検事の言葉に追随するだけになっている》
森川検事「僕は別にうそをついたから怒るとか、そういうことじゃないけど。ただ本当にね、人のあやめたんだったら、そのことを本当に反省してもらいたいと思うわけ」
菅家さん「はい」
森川検事「あやめてないんだったら、そんなことを認める必要はないわけで。はっきり言って草むらに置かれて死んでっちゃった真美ちゃんかわいそうだと僕は思うしね」
菅家さん「自分も思います」
森川検事「君が本当に違うんだったらだよ、全然やってない人を罪に落として、真美ちゃんだって浮かばれないし。かと言って、本当は罪を犯してるのに罪を免れられるんだったら、それこそかわいそうで仕方ないと思うよ。だから僕は、本当のことを言ってもらいたいと思っている」
菅家さん「…」
森川検事「間違いないんだな? 真美ちゃんの事件は間違いないんだね」
菅家さん「はい」
森川検事「やったの?」
菅家さん「後は知りませんけども」
森川検事「なんで違うって言ったの?」
菅家さん「なんて言うんですか、胸が苦しくなって。嫌だ嫌だと思っていたんですよ」
森川検事「嫌だ嫌だって、何が嫌? 思いだすのが嫌」
菅家さん「どっちも。それもありますけど。意地っていいますか。昨日来てもらったときはやってないって言いました。そのときはもう苦しかったんです、本当に」
森川検事「昨日、真美ちゃんの事件は間違いないと思ってたから、聞く気はなかったんだけど。(福島)万弥ちゃんの事件(昭和54年の女児殺害事件)とか、(長谷部)有美ちゃんの事件(59年の女児殺害事件)が古いこともあって、よく分からないこともあったから聞こうと思って。万弥ちゃんと有美ちゃんの事件、本当にやったのかと聞いたつもりなんだよ」
菅家さん「はい」
森川検事「そしたら、真美ちゃんの事件が違うなんて言い出したから、あれあれって思ったんだけどね」
菅家さん「本当申し訳ないです。(泣き声で)勘弁してください。ごめんなさい」
森川検事「君が違うって否定したら、罪を免れられるかな。他の人はどう思うか知らないけども、僕はそれでも君は罪を免れられないと思っている。だから僕は君を起訴したわけだ。君が否定してもこれは間違いないなってね。今まで君が話した内容とか、他の証拠から見て、これは間違いないなって思ったから。後で裁判になって否定したって、これはもう大丈夫だと思ったから。だから、今まで認めたのに急に否定したら、いったいどうなるんだろうかなって思ってね。本当に亡くなった真美ちゃんのことを思いやる気持ちがなくなっちゃったのかなと」
菅家さん「それは絶対ないです」
森川検事「絶対ないですって言うけどさ。昨日否定したときは、真美ちゃんがどんな気持ちで死んでいったのかなっていうことは考えなかったでしょう」
菅家さん「何回も言いますけど、苦しくて。考えなかったんです、昨日は」
森川検事「それ考えてたら、言えない言葉だと思ってるの」
菅家さん「…」
森川検事「で、君が現場の河原で説明した事柄は、警察も僕も知らないこといっぱい言ってるんだよね。昨日、訳分かんないで説明したっていうけども、こんな具体的な説明なんでやるんだろうか。作り話ではできないですよ。僕はそう思っている」
菅家さん「昨日のことは勘弁してください」
《森川検事は再び現場検証での菅家さんの行動を引き合いに出しながら、何度も『否認はうそだった』と念を押していく》
森川検事「ずっとひた隠しに隠してきて、それで昨年の12月に警察が来て。もうばれているということで認めたんだろうけども。現場検証が終わってさ、真美ちゃんのところに線香あげて花あげてって言ったときに、君どうやったか覚えている?」
菅家さん「覚えてないです」
森川検事「両手をついて、ごめんなさいって言って泣いちゃったじゃない、君」
菅家さん「はい、それは覚えています」
森川検事「しばらく立てなかったでしょう、あのとき。警察官に促されて、やっと立ち上がって、それで現場引き上げていったわけじゃない」
菅家さん「はい」
森川検事「本当に自分でやったのでなくて、あんな動作できるのかなっていうのはね、誰でもそう思うよ」
菅家さん「…」
森川検事「ただ一度そういう話をした以上、素直に振り返って、自分の心の傷としてよく刻みつけておいてもらいたいと、僕はそう思うわけね」
菅家さん「はい」
森川検事「昨日の真美ちゃんのあれは、うそを言ったということで間違いないんだね」
菅家さん「はい、すいません。ごめんなさい。取り消してください。昨日のは」
森川検事「僕はね、君の誠実さを見ておきたいと思っているわけだから」
菅家さん「はい、すみません」
森川検事「君を起訴する前に警察で、僕何回も足運んで君から調書取った。調書の中でうそ言ったりしたことはある? 勘違いは別としてね」
菅家さん「はい」
森川検事「あえてうそついて調書にしてもらったということはある? 真美ちゃんの事件についてね」
菅家さん「たぶんないと思います。考えてみて」
《改めて“自白”を引き出した検事。安心感からかやり取りには、また雑談が増えてくる》
森川検事「今、僕と話しても苦しい? はっきり正直に言っていいよ」
菅家さん「苦しいですけど昨日より楽になりました」
森川検事「早く外に出たいという気持ちあるでしょう。そういう気持ちがあるから、余計胸が重苦しくなるんでしょ?」
菅家さん「そうです」
森川検事「本当にやったのかなんて聞かれるとき、助かりたいっていう気持ちが頭をもたげてくるんじゃないかな」
菅家さん「そうです」
森川検事「人の命をあやめたということであったら、正面から見つめないというのは、人間として駄目なんじゃないかと僕は思うの。あやめた人を思いやるということは人間の誠実さだと思う。分かるね?」
菅家さん「分かりました」
森川検事「そんなふうに真美ちゃんの事件をやってませんなんて言ったこと、今まで一度もないね」
菅家さん「はい、ありません」
森川検事「鑑定の先生なんかにも」
菅家さん「はい言ってません」
森川検事「弁護士さんにも、警察でも言ってない?」
菅家さん「言ってません」
森川検事「昨日が初めてだね?」
菅家さん「はい」
森川検事「でも、うそを言うと、ひっかかりあるんじゃない?」
菅家さん「はい」
森川検事「言わなきゃいけないという気持ちと、助かりたいという気持ちが両方入り交じってるんだ?」
菅家さん「昨日も言うつもりなかったんですけど、苦しくなって」
森川検事「僕の方が言わせちゃったのかな?」
菅家さん「そんなことないですけど、苦しかった」
森川検事「僕は昨日、君の話は信じられないと言ったよね。真実ちゃん事件の話は聞くつもりなかったんだけど、こんな話になっちゃった。少なくとも僕は真実ちゃん事件の方は間違いないと思ってた」
菅家さん「夕べ、(聞き取れず)残してほとんど手をつけなかった」
森川検事「食べてないの?」
菅家さん「3日にこっちにきまして、4日から食べてません」
森川検事「なんで?」
菅家さん「苦しい思いでいっぱいで」
森川検事「昨日も言ったけど、君、太ったよ。11キロ増えたんだって?」
管家さん「45キロでした。ずっと。東京から帰ってきたら56キロでした」
=(3)に続く
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菅家さん「はい」
森川検事「あやめてないんだったら、そんなことを認める必要はないわけで。はっきり言って草むらに置かれて死んでっちゃった真美ちゃんかわいそうだと僕は思うしね」
菅家さん「自分も思います」
森川検事「君が本当に違うんだったらだよ、全然やってない人を罪に落として、真美ちゃんだって浮かばれないし。かと言って、本当は罪を犯してるのに罪を免れられるんだったら、それこそかわいそうで仕方ないと思うよ。だから僕は、本当のことを言ってもらいたいと思っている」
菅家さん「…」
森川検事「間違いないんだな? 真美ちゃんの事件は間違いないんだね」
菅家さん「はい」
森川検事「やったの?」
菅家さん「後は知りませんけども」
森川検事「なんで違うって言ったの?」
菅家さん「なんて言うんですか、胸が苦しくなって。嫌だ嫌だと思っていたんですよ」
森川検事「嫌だ嫌だって、何が嫌? 思いだすのが嫌」
菅家さん「どっちも。それもありますけど。意地っていいますか。昨日来てもらったときはやってないって言いました。そのときはもう苦しかったんです、本当に」
森川検事「昨日、真美ちゃんの事件は間違いないと思ってたから、聞く気はなかったんだけど。(福島)万弥ちゃんの事件(昭和54年の女児殺害事件)とか、(長谷部)有美ちゃんの事件(59年の女児殺害事件)が古いこともあって、よく分からないこともあったから聞こうと思って。万弥ちゃんと有美ちゃんの事件、本当にやったのかと聞いたつもりなんだよ」
菅家さん「はい」
森川検事「そしたら、真美ちゃんの事件が違うなんて言い出したから、あれあれって思ったんだけどね」
菅家さん「本当申し訳ないです。(泣き声で)勘弁してください。ごめんなさい」
森川検事「君が違うって否定したら、罪を免れられるかな。他の人はどう思うか知らないけども、僕はそれでも君は罪を免れられないと思っている。だから僕は君を起訴したわけだ。君が否定してもこれは間違いないなってね。今まで君が話した内容とか、他の証拠から見て、これは間違いないなって思ったから。後で裁判になって否定したって、これはもう大丈夫だと思ったから。だから、今まで認めたのに急に否定したら、いったいどうなるんだろうかなって思ってね。本当に亡くなった真美ちゃんのことを思いやる気持ちがなくなっちゃったのかなと」
菅家さん「それは絶対ないです」
森川検事「絶対ないですって言うけどさ。昨日否定したときは、真美ちゃんがどんな気持ちで死んでいったのかなっていうことは考えなかったでしょう」
菅家さん「何回も言いますけど、苦しくて。考えなかったんです、昨日は」
森川検事「それ考えてたら、言えない言葉だと思ってるの」
菅家さん「…」
森川検事「で、君が現場の河原で説明した事柄は、警察も僕も知らないこといっぱい言ってるんだよね。昨日、訳分かんないで説明したっていうけども、こんな具体的な説明なんでやるんだろうか。作り話ではできないですよ。僕はそう思っている」
菅家さん「昨日のことは勘弁してください」
《森川検事は再び現場検証での菅家さんの行動を引き合いに出しながら、何度も『否認はうそだった』と念を押していく》
森川検事「ずっとひた隠しに隠してきて、それで昨年の12月に警察が来て。もうばれているということで認めたんだろうけども。現場検証が終わってさ、真美ちゃんのところに線香あげて花あげてって言ったときに、君どうやったか覚えている?」
菅家さん「覚えてないです」
森川検事「両手をついて、ごめんなさいって言って泣いちゃったじゃない、君」
菅家さん「はい、それは覚えています」
森川検事「しばらく立てなかったでしょう、あのとき。警察官に促されて、やっと立ち上がって、それで現場引き上げていったわけじゃない」
菅家さん「はい」
森川検事「本当に自分でやったのでなくて、あんな動作できるのかなっていうのはね、誰でもそう思うよ」
菅家さん「…」
森川検事「ただ一度そういう話をした以上、素直に振り返って、自分の心の傷としてよく刻みつけておいてもらいたいと、僕はそう思うわけね」
菅家さん「はい」
森川検事「昨日の真美ちゃんのあれは、うそを言ったということで間違いないんだね」
菅家さん「はい、すいません。ごめんなさい。取り消してください。昨日のは」
森川検事「僕はね、君の誠実さを見ておきたいと思っているわけだから」
菅家さん「はい、すみません」
森川検事「君を起訴する前に警察で、僕何回も足運んで君から調書取った。調書の中でうそ言ったりしたことはある? 勘違いは別としてね」
菅家さん「はい」
森川検事「あえてうそついて調書にしてもらったということはある? 真美ちゃんの事件についてね」
菅家さん「たぶんないと思います。考えてみて」
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菅家さん「そうです」
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菅家さん「そうです」
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菅家さん「分かりました」
森川検事「そんなふうに真美ちゃんの事件をやってませんなんて言ったこと、今まで一度もないね」
菅家さん「はい、ありません」
森川検事「鑑定の先生なんかにも」
菅家さん「はい言ってません」
森川検事「弁護士さんにも、警察でも言ってない?」
菅家さん「言ってません」
森川検事「昨日が初めてだね?」
菅家さん「はい」
森川検事「でも、うそを言うと、ひっかかりあるんじゃない?」
菅家さん「はい」
森川検事「言わなきゃいけないという気持ちと、助かりたいという気持ちが両方入り交じってるんだ?」
菅家さん「昨日も言うつもりなかったんですけど、苦しくなって」
森川検事「僕の方が言わせちゃったのかな?」
菅家さん「そんなことないですけど、苦しかった」
森川検事「僕は昨日、君の話は信じられないと言ったよね。真実ちゃん事件の話は聞くつもりなかったんだけど、こんな話になっちゃった。少なくとも僕は真実ちゃん事件の方は間違いないと思ってた」
菅家さん「夕べ、(聞き取れず)残してほとんど手をつけなかった」
森川検事「食べてないの?」
菅家さん「3日にこっちにきまして、4日から食べてません」
森川検事「なんで?」
菅家さん「苦しい思いでいっぱいで」
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